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地球温暖化の影響 2

・熱波→乾燥・水不足→山火事

 昨日まで猛暑が続いたフランスだが、とりあえず例年並の気温に戻った。それにともない仏気象庁は、熱波注意報を解除した。今回も数人の死者が出たが、市民レベルでの連帯性が機能したことによって、とりあえず2年前のような悪夢は回避できたわけである。新たな猛暑が襲ってくるかということは、いまだ予期することはできないが、これまでの熱波の影響による農作物等の被害は深刻であるようだ。降雨に見舞われない多くの土地は、市民に対し節水することを促している。
 この時期になると、毎年のように問題になる水不足。市民生活ための貯水池が枯渇するということは稀であるが、農作物への影響は深刻である。国が定める基準に達しない粗悪な農作物しか収穫できないことを嘆く声も、メディアを通して多く聞くことができる。隣国のスペインのある地方では、シリアルが全く収穫できなかったり、痩せた乾燥した土地でも育つと言われるオリーブの樹でさえ維持できない農園主もいることがニュースで報道されていた。被害にあった農業者らの補償は、国によってある程度なされるだろうが、毎年のように反復される状況を前に、農業を廃業する人もいるらしい。
 さらに土地の乾燥と熱波がともなう惨事として挙げられるものに、山火事を付け加える必要があるだろう。特に南仏で頻繁に発生する山火事。2年前の夏には総出火回数が3490回確認され総面積61507haが灰と化したという記録がある。なかでも、一度に1000ha以上の広域に拡がった大惨事は14回に達したという。主な出火原因として放火狂(ピロマン)による人為的犯罪もあるが、やはり乾燥と熱波による自然出火のケースが多い。一度発火した火の勢力を止めるのは、早期発見以外は気候状況にも左右され非常に難しいとされる。ほぼ完全に抑制したと思われても、根に伝わっている熱が冷めないうちは、いつでも再燃する可能性があるので予断が許されない状況が続くわけである。
 また山火事が起りやすい地区では、夏の降雨量が少ないため(まさにそのことが自然発火の環境を形成するのだが)、水不足も重なり消火のための水源確保も困難になる。海からとってくる水を空から撒いている映像を見ることも多い。自然発火を未然に防ぐことは困難であるため、最終的に見回りを強化するなりして、勢力が拡大する前に消火するしかないらしい。
 気候の変化にともなう同様の被害は、主に隣国のスペインやポルトガルでも深刻である。ここでも地球温暖化が、その原因の一部として作用しているといわれている。直接的に人命が危険に曝されないようなものでも、各方面にて悪影響を及ぼしている。被害への対策やその補償に追われる国の財政を圧迫していることは疑いものないことである。
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2005.06.29[Wed] Post 23:02  CO:1  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

地球温暖化の影響 1

・老人問題とランディ・ドゥ・パントコット

 フランスの夏は最近まで非常に過ごしやすかった。しかしここ数年、地球温暖化の影響によって、以前とはまったく事情が異なりつつある。2年前の猛暑の折、仏国内で沢山の死者が出たことは記憶に新しい。閣僚のヴァカンス期間中に襲った出来事で、その対応に遅れた当時の政府への批判は痛烈なものであった。犠牲になった多くが独り暮らしの老人だったことの反省から、当時の内閣は老人ホームの設備を整える資金を調達するため、連帯性の名の下で提示した案は、祝日であるランディ・ドゥ・パントコット(聖霊降臨祭明け月曜日)を無償で労働することというものであった。教会にはほとんど行かないフランス人ではあるが、同祝日返上の社会奉仕案には真っ向から反対。初めて施行された今年も、完全に平常日と同じというわけにはいかなかった。新政府は、ランディ・ドゥ・パントコットを連帯のための日に定めることを見直し、現在別の日に当てることを検討中である。
 政府の具体的な案はさておき、やはり大事なことは、近所に住んでいる老人らの健康状態を日々気遣うことである。各メディアが毎日のように、市民にその重要性を呼びかけている。
2005.06.27[Mon] Post 23:26  CO:1  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

フェット・ドュ・シネマ

・映画館に行こう!
 
 今日から3日間、フランス全土約5000の映画館で「フェット・ドゥ・シネマ」と題するイヴェントが始まった。そのシステムを紹介すると、期間中、最初に入る映画館で正規料金を支払い映画を鑑賞する。その時、開催期間中有効なパスポートをもらうことができる。それを提示することで、次回からすべての映画が一律2ユーロで鑑賞できるという仕組みである。通常、名画座が7~8ユ-ロで、ロードショーなどは8~10ユーロ。したがって、かなり安い金額で映画を楽しむことができるということだ。
 娯楽があまり存在しなかった時代と比較すると、映画館に足を運ぶ市民が減ったのは、映画発祥の国フランスにおいても例外ではない。フランスでは、有料チャンネル等を除く地上波で、土曜の夜に映画を放映することは禁止されているが、近年存続が危ぶまれる名画座を始めとし、映画産業そのものを保護するためである。
 映画館側でも、入場者増員のための工夫は独自になされている。学生やシニア割引はもちろんのこと、回数券や年会員による割引、さらに早朝など入場者が多く見込めない上映時間での割引などを主に挙げることができるだろう。しかしなんといっても、フェット・ドゥ・シネマ期間中の入場者数が通常の約3倍に増えることを考えると、映画そのものへ関心を向けるために、同企画がいかに貢献しているかを理解することができるだろう。
 期間中3~4百万の入場者を期待できるとされるフェット・ドゥ・シネマ。昨年は85年の企画以来、過去最高の430万人を記録した。ちなみに昨年の総入場者数は1億9400万人であったので、1日あたり53万人という計算になる。
2005.06.26[Sun] Post 23:53  CO:0  TB:0  文化  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

SOLDE

・夏のソルド

 昨日からパリを含む37の県でソルドが始まった。残り地域でも来週から始まる。フランス人のソルドに対する関心度は高く、今やローラン・ギャロスとヴァカンスの間に位置する一大行事と化しているとまで言われている。初日の様子は毎回メディアでも報道されるが、数日前から目をつけている商品を目指し開店と同時に走っていく消費者の姿など、購買力を促進させるようなお決まりのイマージュばかりである。
 フランスにおいてソルドは年2回、全国ほぼ一斉に行われる。毎年各県の行政によってその開始日や期間などは定められ、小売業者はこれに従わなければならない。このことは無論、すべての商店がソルドを行う義務があるという意味ではなく、行政区が決定する開始日を守る必要があるということである。このことは、ソルドを巡る業者間の過剰な競争を防ぐために機能している。またソルドにおける対象商品に関する重要な規定としては、その年に新たに入荷されたもので少なくとも開始30日前から陳列されているものでなければならないというものである。これは消費者を保護する目的で定められている法であり、ソルド用の商品を特別に製造し安く販売することなどを未然に防ぐためだとされている。
 このように様々な仕方で統制されているソルドであるが、今回その期間に関して一部の小売業者から不満の声があがっている。今年は例年の6週間から4週間に期間が短縮されたが、これに関してはさほど問題はないようである。一方で、当初6月の最終水曜日と予定されていた開始日が、今回5日早められたことに問題があるらしい。これによって、通常より利益を得るのはデパートや人気ブティックなどで、ショッピングモールなどに入っていないごく普通の店舗にとっては苦戦を強いられるといわれている。
 フランスでは7月からヴァカンスシーズンに入るため、都市部の人口が激減する。もし29日に開始されることになっていたとするなら、売上も減ることは必至だという判断されたようだ。したがって、ジュリエティスト(7月にヴァカンスをとる人々のこと)を考慮に入れ、かつ結果として大型店舗が有利になるよう、今回週末にも重なるように5日早めたというのである。元々集客力のあるデパートにとっては、ジュリエティストらの購入期間が増すに比例して全体的に売上がよくなると考えられているのである。一方で小型店舗主の立場からすると、できる限り開始日を後に延ばしたいというのが本音であろう。やっと夏物のシーズンが到来した矢先に即ソルドというのでは、たとえ商品が売れるにせよ、やはり期待される利益は減るからである。彼らにとっては例年の開始日でも早すぎると言われているが、今回は週末も含め正規価格にて販売可能な日をさらに数日失ったのわけである。
 確かに衣料など夏物のソルドは、夏の終わりにというように考えるのが普通だと思われるが、初夏に始まるフランスでは消費者にとってはありがたいことである。しかしながら今回5日早まった開始日に対して不満をもらしているのは、小型店舗主だけでなく、消費者のなかにもいるというから驚きだ。なぜならそのことで、より多くの選択がある初日が結果的に給料日前になってしまったからだ。ジュリエティストを考慮にいれた策が、結局ヴァカンスにも出れかつソルドにて買物をする余裕のある、ブルジョワ本位のものになったということだ。階級差に由来する問題に対し、常に敏感に反応するフランスらしい意見であるように思われる。


2005.06.25[Sat] Post 18:09  CO:0  TB:1  文化  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

サルコジ内相の危険な発言

・Nettoyer / Payer

 以前から挑戦的かつ行き過ぎた発言に対して、各方面から反感を買うことが絶えないサルコジ内相。今回も彼の発言を巡って、相次ぐ批判がなされている。
 一つ目は、先日パリ郊外のクーヌーブ市で起った児童殺害事件の際での発言である。この地区で対立するグループ間の闘争の場に巻き込まれた子供が、銃で撃たれて死亡するという事件の数日後、現場に訪れたサルコジ内相は報道陣を前に、街からちんぴらを一掃するとコメントした。一見すると問題がないようにも思われるが、一掃する=NETTOYERという言葉が、「掃除する」という日常的意味を超え、例えば民族紛争などで一方が他方の民族の集団虐殺行為をnettoyage ethnique というに、その対象が人間となる場合は十分にショックを与える言葉である。
サルコジ内相が何も知らずに、NETTOYERという語を用いたとは誰も信じないだろう。遺族や親近者が感情的に言うのとは、事情がまったく異なるのである。まるで極右の政治家が、反移民感情を煽るために使用する用語と大差はないように思われる。この発言に対して非難が相次ぐなか
ドゥ・ヴィルパン首相はTV出演の際に求められた質問に対し、もっともショックなことは(問題の発言ではなく)今回の児童殺害のような事件が発生すると言って直接的コメントは避けていた。
 二つ目は今月の初めに、セーヌ・エ・マルヌ県である女性が二人の男に殺害された事件に際して、判事に対して言ったものである。容疑者のうちの一人は、90年に殺人事件を起こし終身刑の判決を受けたが、一昨年に仮釈放を許された者。したがって、累犯ということになる。問題の発言は、この累犯者の仮釈放を許可した判事に、その落度としての責任をとるべきという内容のものである。この発言はそので用いられた表現(PAYER)もさることながら、先ほどのもの以上に問題がある。なぜなら、一国の大臣という立場の者が司法判断に干渉するとも解釈される限り、三権分立の精神を侵害するものであるからだ。第五共和国体制で例をみないこの発言に対しては、首相官邸側も大統領官邸側同様にコメントを避けているが、終身刑を下され累犯に到った者がなぜ仮釈放されたのかは全国民が疑問視していることなどと、当の本人はコメントしている。
 次期大統領候補といわれるサルコジ内相。挑発的な発言をするのは、経済的・社会的に不安定な状況のなか近年勢力を増しつつある極右賛同者らの票を狙っての戦略といわれているが、その見え透いたやり方は国民戦線党首のル・ペン氏の扇動ぶりと、さほど変わるものでない危険な印象を受ける。
2005.06.23[Thu] Post 23:57  CO:0  TB:1  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

フェット・ドゥ・ラ・ミュージック

・フランスの初夏

 夏至の日の恒例行事となっているフェット・ドゥ・ラ・ミュージック(音楽祭)が、フランス全土で開催された。今年で24回目を迎えるこのフェットは、当時文化省で音楽・ダンス部の理事を務めていたモーリス・フルーレ氏の企画案の下、同相のジャック・ラング現社会党下院議員と共に実施したのが始め。今ではヨーロッパの主要都市はもちろんのこと、ニューヨーク・サンフランシスコなどの都市から、ブラジル、コロンビア、アフリカ諸国に到るまで、世界各地で同企画が市民権を得ている。
 海外の有名グループが招待されたりする大掛かりな野外コンサートから、コンサートホール、ラジオ局のスタジオなどで、あらゆるジャンルの音楽が無料で聴ける。最近では完全に制度化され以前よりも一層コマーシャル化されつつあるが、この企画のもつ本来のエスプリに触れようとするなら、街中にあるカフェ、さらには街頭で聴くことができるアマチュア・ミュージシャンの演奏を通してであろう。プロを目指しているレベルから趣味で楽しんでいるレベルまで様々であるが、気に入った演奏をじっくりと聴くのはともかく、ただ人ごみをかきわけ散策するだけでも正直楽めるフェットである。
 
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2005.06.21[Tue] Post 23:31  CO:1  TB:0  文化  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

予算協議決裂

・予算協議決裂

 フランス・オランダ両国の否認から始まって、ユーロ通貨への反発、憲法批准期限の先送りなど、EU統一に対する懐疑的な傾向が強まるなか、今度は2007年度から7か年の中期財政計画策定を巡りEU主要大国が対立し、妥協策が見つからないまま対立状態に入ったということは多くのメディアで報じられている。
 来月の初めにも議長国がイギリスに代わるが、ルクセンブルグ首相でもあるユンケル現議長にとっては、全く不満足な状態でブレアー首相にバトンを渡さなければならなくなった。同議長は混乱した会議の最終会見で、統一のためなら自国の主張の一部を妥協する意を表明した新加盟国らの立場を考慮し、最後まで歩みよりの姿勢を見せなかった主要大国のエゴイズムを「恥ずべきもの」として糾弾した。
 フランス・オランダ両国での否決後、各国の言い分は今まで以上に自国の世論が強く反映されている。言うまでもないことだが、それらはヨーロッパ全体への貢献より自国の利益確保を最優先するという主張に支えられている。結局、ヨーロッパの中の一国というよりは、ヨーロッパを自国を中心のとした延長と考えている市民が多いことは、各メディアで採りあげられる市民の声から受ける印象である。
 来月10日には、ルクセンブルグで国民投票が行われる。親EUの市民が多い同国で、順当に行けば賛成・可決と言われているものの、反対票の割合が急速に増加している。ユンケル首相は否決の場合には辞任すると言っているが、仮に可決されたとしても圧勝というわけにはいかないようだ。
2005.06.20[Mon] Post 23:39  CO:0  TB:0  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

言語とアイデンティティー

・アシア・ジェバール作家

 昨日、アカデミー・フランセ-ズの新会員に、アルジェリア出身の女流作家であるアシア・ジェバールさんが選ばれた。アカデミー・フランセ-ズは、ルイ13世の時代、リシュリューによって設立されたフランスにおける最も古い学院のひとつである。様々な方言が存在し、国語としてのフランス語が確立されていなかった時代において、正しいフランス語による統制を目的に設立された、いわば言文一致運動の指導・監視機関とでも言うことができよう。フランス語辞書の編纂も行なっており、現在、第9版を出版中。近年では文学賞を主催するなど、フランス文化振興をはかるためのメセナ活動にも携わっている。40人の会員によって構成されており、女性会員はジェバール女史を含む4人。

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2005.06.17[Fri] Post 23:01  CO:0  TB:1  文化  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

屋根裏・女中部屋

・7㎡

 政府は昨日の議会で、都市部の慢性的住宅難対策の一環としてボルロー連帯相が提案していた、9㎡以下(7㎡以上)の女中・屋根裏部屋の賃貸についての新案を正式に白紙に戻した。したがって、今後も2002年1月の条文に従うことになる。
ボルロー連帯相は問題の新案を提示したさいに、パリだけでも約2000の部屋を即時に確保できるいっていたが、7㎡で生活することは不可能という批判を多くの団体から受けていた。空いているスペースがある。利用しなければ、無駄なものであるとも解釈される計画案であったが、プラグマティック路線を提唱する新政府でも、さすがにこれには待ったをかけたと言える。
 先日ある議員が、新案に対するインタヴューに答え、「自分も学生の頃は、狭い女中部屋に住んでいたことがある。日々の生活は厳しかったが、今となれば良い思い出」と、無責任なことを言っていた。7㎡の部屋でも住めば都なのかはやはり疑問である。今回の政府の判断は、賢明なものという印象を受けた。

(追記:5/25の記事で同法案可決と誤報したこと、お詫び申し上げます。)
2005.06.16[Thu] Post 18:28  CO:0  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

オブナ記者の会見

・地下室での生活

 イラクで約5ヶ月間監禁されていたリベラシオン紙のオブナ記者が、記者会見を行った。「地下壕での生活は、生きるにはあまりにも長いが、語るにはとても短い時間ですむ」というオブナ記者は、質疑応答も含め90分近い会見を行った。この会見の模様は、TV5などで生中継された。
 光がささない8㎡の地下壕に約5ヶ月監禁されていたこと。そこでの毎日は、ただ数を数えて過ごすこと。(1日2回のトイレ往復に24歩。応答に許可される言葉は80語。)精神的にも身体的にも非常に緊張した日々を過ごすなか、微妙な変化がある度ごとに「良き知らせの徴候」と自分に言い聞かせていたと語った。会見中の態度からも覗えるように彼女のユーモラスな性格や、逆境にある時も常にポジティヴ志向でいるという強い精神力が、いつ訪れるか分からない暗い地下壕からの解放に光を与えて続けていたのだろう。
 マットレスの上で最小限の動きしか認められず、目隠しをされていたオブナさんが、自分の80cm前で同じ状態で監禁されているのがアヌーンさんであったことを知ったのは、解放される当日であったという。互いに話すことを禁止されていたので、それに従っていたが、時には威嚇する意味などから「話をするなといっただろう」と言いがかりをつけられ、手をうしろで縛られたりする体罰を受けたこともあったと述べた。
 オブナさんは、犯行グループについての質問に対し、何も知らないし、自分が何の目的で拘束され、どういった経緯で解放されたのか具体的なことも何も知らないと答えた。また、そのことについては自分自身も興味があると言っていた。一方で犯行グループは、彼女が拉致される数日前に、イラクで解放されたマルブリュノ、シェノ両記者に関する問題の、一連の顛末には精通していたと、オブナさんは語った。3月1日に公開された解放を訴える映像のなかで、オブナさんはジュリア仏下院議員に助けを求めている部分があるが、この時犯行グループは、マルブリュノ・シェノ記者解放の際に、同氏が組織する機関が仏政府と平行して交渉にあたっていたこと(このことは、政府から批判されている)、また前回思うように事が運ばれなかったことで今回同氏が名誉を挽回するチャンスであることなどを、オブナさんに話していたという。無論、犯行グループにとっては、仏政府との交渉が思うように進展しないことから取った策である。
 犯行グループは当初、オブナさんに対して「人質として、あなたは失格だ」と言っていたようだが、それはアラブ諸国向けの報道TV局アルジャジーラで、大きな出来事として扱われていないという理由からであったという。しかし、解放を訴える映像が流れてからは、「合格点に達した」らしい。その後、各国で行われていた解放運動の様子などの映像も、同TVで多く流れていたようである。今回、明確な犯行声明はいまだ発表されていないが、犯行グループ側からすれば、イラクは戦争のせいで以前よりも危険な場所になった、未だ戦争は終結しておらず英米が率いる軍と戦っている、アラブ諸国は一団となって自由自治のために戦う必要があるなど、アラブ人としての大義を世界に伝えることだけでも、多くのものを得ていると思われるのだろう。
 オブナさんは、またイラクに行くことがあるかという質問に対し、近日中では決してないが、いずれ行くだろうと答えていた。また、現時点におけるジャーナリストのイラク行きに関しては、非常に危険な状況で勧められないと述べていた。質疑応答の最後の方で、イラク人の女性記者がオブナさんに対し、ひとりのイラク人として謝罪を述べるシーンがあったが、これに対しまず過去に起った児童誘拐殺人事件に関して加害者の遺族が記者会見で述べた言葉を紹介することから始めた。
 娘の殺人犯に死刑を望むかという質問に対し、その母親が言った言葉・・・「自分の愛娘が殺されたことを知る三日前まで、わたしは死刑に対して反対でした。したがって、なぜ今ここで考えを変える必要があるのでしょうか。いままで通り、死刑には反対です。」を紹介した後、オブナさんは次のように言って、記者団を感動させた。

「わたしのイラクとその市民に対する気持ちも同じです。今回の事件前と彼らに対する気持ちはこれからも変わりません。」

 尚、同じ場所で監禁されてたとされる3人のルーマニア人記者に関することなどについての質問には、一貫して自分は同行通訳者のアヌーンさんと一緒に拘束されていたとだけ答えていた。同じ仕事場、同じアパートで、同じ生活が送れる自分はラッキーであり、仕事を失いイラクで家族と未だ危険な状況下にいるアヌーンさんよりは恵まれていると、運命を共にした仲間の配慮も忘れなかった。
2005.06.15[Wed] Post 21:54  CO:0  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

国民投票、その後2

・新雇用草案

 ド・ヴィルパン内閣が提案した新雇用制度は、従来のCDIと基本的には変わらないと強調するものの、次の点において既存のものと決定的に異なる。雇用者側が労働者に対し、本採用を決定するまでのいわゆる試用期間を2年に延ばすという点である。現行のCDIでは、試用期間に関しては、常識の範囲内といったように曖昧な表現が用いられており、正確な期限は法的に定められていない。業種や部署によって異なるものの、慣習的に2-3ヶ月としている企業が大半である。
 試用期間は本来、とりあえず保険の意味も含めて企業側が、適正能力を判断するための猶予期間であるとされる。また労働者側にとっても、就業環境・条件などを吟味するための期間として意味をもつ。双方とも本契約を交わした後にそれを解消するには、諸々の法的な手続きを経る必要があるので、無駄な係争を事前に避けるためにも試用期間は両者にメリットがあるといえだろう。また、CDD同様CDIにおいても、試用期間に続く本契約の破棄には、双方ともその理由を明確にする必要がないとされている。今回の新雇用法に対し労働組合、野党側は、一斉に批判しているのだが、その理由は新案の細部に渡たるテクニック面よりも、まずは試用期間延長が意味する不条理さにある。契約破棄に関する通告・補償等については、これからも検討が推し進められると思われるので最終決議を待つことにし、ただ試用期間について感じたことを書き留めておこうと思う。
 例えばある店舗で商品を購入するとする。不備・故障の場合は言うまでもないが、理由の如何によって返品・交換が認められることもある。しかしながら後者の場合でも、それが適応される有効期間はそれほど長くはない。故障の場合でも、使用事項など条件つきで1年とかが普通である。人間の労働力を商品とを単純に比較することはできないにせよ、今回の試用期間2年が適応される場合、労働力が商品以上なのか以下なのかと批判したくなる気持ちに駆られる。労働者側に立つ組合にとっては、雇用側の方が有利になることは簡単に予想されることだという。なぜならば、従来試用期間でなされる適正能力の判断以上のことが確実に可能になるからである。
 具体的な例として簡単に予想できることは、新たに人材補強した2年間で、以前よりも経営が思うように伸びない場合でも、新契約法で雇った者を「試用期間の名において」本採用しないことは、問題にならないからである。これを権力の濫用といっても、倫理的に問題があるだけで、法的には可能なことである。したがって今回の雇用法改革の論点においても、フランスでは人権の問題に帰することになるのだが、反対派としては新案を盾にした雇用主側から労働者への権利の不当行使を、未然に阻止しておきたいわけである。
 しかしながら、新案が雇用主側のみに有利に働くわけではないことは、それが誰にとって必要なのかを尋ねてみようと政府は言う。当然のことながら、新政府にとって失業率を下げることが第一の課題であり、それに関して反論する者はいないであろう。これを実現するためには、失業者の権利と労働者のそれとを、とりあえず分けて考える必要があるというのが、政府側の主張であると思われる。失業者にとっての権利は、国から失業手当が毎月支給されるということ以前に、一刻も早く仕事に就くということである。そのためには、(前回に書いたように)極小企業や店舗の人材補強に対しブレーキを掛けている現雇用法を見直し、よりスープルなものを導入することが必要であるということである。新案に反対する陣営が懸念していることが、実際に新たな社会問題になるかは経済の行方次第であるが、失業者に関していえば、一時的に減少すると思われる。
 確かに景気次第で誰でも失業者になり得る不安的な時代ではあるが、すでに職に就いている者の権利を保護することを強調することで、逆に経済全体を圧迫しているという現象は、ある意味疑うことのできない現実である。新案は、すでに就業している者の契約内容を変えるためではなく、職を必要としている者が対象である。また、これから契約を交わす者も、新たな契約法に従わなければならないわけではない。
 政府側のにまったく問題がないということはいえないが、失業問題は政治的イデオロギーを超えた国全体の問題であるという点ではすべての者が一致している限り、野党あるいは組合側もある程度の妥協が必要であるだろう。交渉はさらに続くが、政府は9/1からの施行を考えている。
2005.06.14[Tue] Post 22:20  CO:0  TB:0  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

オブナ記者とアヌーン通訳の解放

・人質解放

イラクで武装集団によって1月5日から拘束されていたオブナ記者とアヌーン通訳が、157日ぶりに解放された。先日もアフガニスタンで人質にされていたイタリア人で国際援助団体職員のカントニさんが、3週間ぶりに解放されたという朗報があった。3人の解放運動は、仏伊両国で連日のように行われていた。カントニさんに関しては、現地のアフガニスタンの女性らによる解放運動も、早期解決に拍車を掛けたともいわれている。
今回の件でも、人質の安保を第一に考慮するため、確実な情報以外はまったく報道されなかったが、連日のように連帯性を示す報道はなされていた。シラク大統領は今回の朗報に関して、エリゼからTVを通じてコメントを述べたが、特にオブナさんの家族、報道機関を先頭に、市民レベルでほぼ自発的に行われていた連帯感を示す多くの解放運動を称えていた。
2005.06.12[Sun] Post 20:34  CO:0  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

国民投票、その後

・雇用法について

フランスでは国民投票後、憲法否決の原因として槍玉に挙がった不安定な就業状況に関する政策は、新政府によってすでに発表されたが、早くも各労働組合や野党側からは批判の声が上がっている。
今回の新法案のなかで特に注目を引くのは、10人以下の企業に対する雇用活性化のための法案である。企業のサイズの如何に関らず現行の契約法は、大きく分けて2種類ある。一つはCDI(無期限の契約)であり、他方はCDD(期限を定めた契約)である。基本的にはCDIであるが、後者が適応される例としては主に学生を雇う場合や、従業員の入院あるいは産休期間に代行者と契約する場合、ヴァカンス地などでの季節労働者と契約する場合などである。その他にもCDDが認められるケースはあるが、基本的に一時的な補強要員としての枠を超えない。
したがって通常の契約はCDIであるが、フランスでは労働者一人に対する社会保障の積立金など、経営者側の国への負担が大きいため、明らかに人材が不足であるというケースでも、人員を増やすことに躊躇する経営者が多い。さらに躊躇する原因としては、契約解除に伴う補償の問題なども挙げることができるだろう。一度CDIし一定の見習期間が過ぎた者、つまり正社員としての契約が有効化した者を、経営悪化などの理由に解雇することは一定の手続きを経ることで可能であるが、その場合には勤労年数や給与などから算出される補償金を支払う義務がある。
いずれにしても、景気の動向がはっきり見えず、さらにはその微妙な変化にも作用されやすいセクターのPME(中小企業)の経営者にとっては、人材を一人でも増やすということはある意味大きな賭けにでるともいえる。人材を増やすことによって、確実に利益が見込めるということは、誰にも定かではないからである。一方、過剰な労働を強いられている従業員の立場からすると、仕事が分担できる限りで、同僚が増えるに越したことはない。さもなければ、昇給を期待するのが世の常というものだ。しかしながら基本的に、賃金を上げることはできても、下げることはできない雇用法では、労働者側の望む通りにいかないのも現実である。以上は、商店なども含めたPMEに見られる単純化した悪循環の図式である。
今回ド・ヴィルパン内閣が提案した雇用改革の一部は、CDIとCDDの中間に位置するような柔軟性をもつ契約システムを新たに加える法案である。極小企業が抱える現行の契約システムに由来する悪循環の打開策が、その目標とされている。(続く)
2005.06.10[Fri] Post 23:47  CO:0  TB:0  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

バカロレア資格試験

・BAC

フランスでは、バカロレア資格試験が始まった。初日の今日は哲学。文学系、経済系、科学系のバカロレア資格を志望する者を対象に行われた。フランスの高校ではその最終学級にて哲学の授業がプログラムとして組み込まれており、世界でも類を得ない制度であるという。高校での哲学クラスの廃止や時間短縮は、これまで何度も学校改革の一環として話題になったことはあるが、フランスの哲学者などによってその伝統は守られてきている。哲学が諸学の基礎であるという時代はすでに終わっているが、既存の価値体系からくる先入観とは一線を引き、自らの力で思考するという哲学的態度は、学問に携わっている者のみならず、どの時代でも重要なことであると思う。


文学系の出題 (3問から1つ選択)

・正義や不正義はたんなる世間のしきたりでしかないのか?
・言語活動はコミュニケーションだけに役立つのものなのだろうか?
・自然についてのジョン・スチュワート・ミルのテクストを説明し、次に、いかにして人間は、自然を馴らし、変革し、あるいはそれに従うことができるのかについて説明せよ。

経済系の出題 (3問から1つ選択)

・われわれは、技術に何を期待しているのか?
・政治的行動は、歴史の知識によって導かれなければならないか?
・倫理と道徳法に関するカントのテクストを説明せよ。

科学系 (3問から1つ選択)

・自由であることは、何の障害に出会わないということなのか?
・芸術作品に対する感性は、教育されることを必要とするのか?
・真理の個人的探究に関するマルブランシュのテクストを説明せよ。
2005.06.09[Thu] Post 23:37  CO:0  TB:0  文化  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

脳バンク (FRANCE2のニュースから)

・脳バンク

骨髄や臓器バンクの話題はしばしば耳にするものの、TVニュースで脳バンク設立に関する報道があった。フランスでは始めてであるという。
骨髄や臓器バンクは、移植を必要とする患者に対し、生前あるいは死後に提供される臓器の管理またはコーディネーションをする機関であるが、今回報道された脳バンク設立の意図は、無論移植が問題となっているのではない。アルツハイマーやパーキンソン病に代表される、脳に関する病の研究標本として役立てるところに、その意義があるとされている。
確かに、現在までフランスにおいて、死後の脳が研究標本として扱われていなかったわけではない。ただしそれらは、実際に脳に関する病に臥した患者らの脳だけに限定されていたという。したがって今回の脳バンクの設立が革新的なのは、脳に異常がない人が、生前に自らの意思で、死後に提供を約束することが可能になったという点である。
2005.06.06[Mon] Post 23:17  CO:0  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

PARIS2012

・シャンゼリゼ大通りでのJO特設競技場

2012年のオリンピック開催都市に立候補しているパリ市で、今日大々的な誘致運動が企画された。約2000人の人材を導入し、一夜にして28種目の簡易競技場が建造されたシャンゼリゼ大通りには、関係者のみならず、オリンピック(JO)開催を支持する市民がつめ掛けた。パリは最終的に北京に決定した2008年開催に続いての立候補であるが、今回はポスターや、テレビのスポットなどを利用し、早くから誘致に向けての運動が活発である。そのイニシアティヴを取っているのは、パリ市長ドラノエ氏(社会党)である。
先週の欧州憲法否認の際パリは、OUIが勝った市の一つである。フランスの否決がオリンピック誘致に対して悪いイメージとして映るかという質問に対し、パリは先にも後にもコスモポリスであり、各市民がコスモポリタンとしての意識を持っているから問題ないと返答していた。
ドラノエ市長は、今日のJO開催に関するTV質問に対して、パリ2012は、倫理的価値の重視と、エコロジカルな理念を強調したJOにしたいという抱負を語っていた。具体的な例として、オリンピックとパラオリンピックの対等性、選手村の均一性、例外を認めない一切のアストリートに対する同一サーヴィス、またエコロジカルな面では新たに建築を有しない既存スタジアムでの開催などを挙げていた。

これらの主張は、同氏の政治倫理にも完全に一致するものである。98年にTVで同性愛を告白したドラノエ氏は、同性愛者の結婚を法的に承認することを支持したりしている。2001年の市議会選では、左派代表として候補者を牽引し、長期に渡って右派政権下にあったパリの政治勢力図を塗りかえた。右派市長政権時代に汚職、献金、架空ポストへの給与支払いなど、何かとダーティーなイメージが定着しつつあったパリ市であったが、様々な部署での透明化を推進している。
また、派手な政治パーティーなどに対しても距離を置き、無駄な経費を削減している。その一方で、市民に対する文化事業に多く予算を捻出するなりし、政党を超えた支持層を持っている。これまで文化面での代表的業績として、セーヌ河岸でのパリプラージュや、光とイマージュの祭典ニュイブランシュなどが挙げられるだろう。
さらに排気ガスによる公害対策として、公共交通機関の利用を呼びかけるなどエコロジーに対する運動も多い。バス通りの拡張や、市の外環でのトラムウエイの建設は、予算や行政上の問題が多くあるものの、徐々に遂行されている。

尚、最終決定は7月6日、シンガポールで開催されるオリンピック委員会で発表される。
2005.06.05[Sun] Post 22:34  CO:0  TB:0  文化  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

オブナ記者とアヌーン通訳

・J150

イラクのバグダッドで今年の1月5日の朝、武装集団に拉致されたから、すでに150日経った。フランス各地では、彼らの解放運動をほとんど毎日やっている。昨年には、フランスの記者二人が約4ヶ月間の拘束後に無事解放されたこともあり、一刻も早い解放が期待されている。

(リベの特集にリンクされる、バナー貼っておきました。)
2005.06.04[Sat] Post 23:37  CO:0  TB:0  社会  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

シラシック・パーク

・第一次ド・ヴィルパン内閣

昨日新内閣の顔ぶれが正式に発表されたが、早くも各方面からの批判にさらされている。特に大統領が、自らの側近者で固めた新内閣は、民意を無視した自分本位なものと言う意見が一般的だ。いつの日だったか、国民戦線党首のル・ペン氏がシラク政権を揶揄した言葉「シラシック・パーク」化した内閣とでも、とりあえず言っておこう。
今回は、メディアの露出度から見る、フランス各省について、分かる範囲で簡単にまとめておこうと思う。

国務・内務相(サルコジ)
 国内の治安維持を担当。フランス独自の問題として、イスラム原理主義団体に関与するテロ組織や、コルシカ独立問題などが主要。また、不法滞在者の問題などで、露出度は大。

国防相(アリオ・マリー)
 特に記載することはないが、フランス独自の問題としては、アフリカにおける旧仏領での紛争時に露出度が増す。それ以外では、戦勝記念日などの式典時など。また、国際紛争時の軍事的介入の最高決定権は大統領にある。通常、露出度は少。

外相(ドスト・ブラジ)
 通常、主だった国際首脳会談は大統領が参加するので、影に隠れることが多い。しかし、先のイラク問題に関る、国連会議では当時外相を担当していたド・ヴィルパン(現首相)の露出度は多かった。今回は、EU問題によって、露出度は増すであろう。

雇用・社会連帯相(ボロー)
 失業者の多いフランスでは、特に重要なポスト。各セクターの労働組合との一般的交渉などで露出度は大。また、公団住宅建設計画などにも携わる。

経済・財務相(ブルトン)
 公定歩合や、税率などの取決め、または購買力推進のための戦略などの草案。予算案の作成(直属の予算担当相との協同)。慢性的な財政難が問題になっているフランスでは、非常に困難なポスト。雇用相にとっての失業率や、内務相にとっての犯罪者数などと同様、なにかと数字で判断されることが多い。ここ数年、頻繁に大臣が変わる。露出度中。

教育・高等研究相(ロビアン)
 教育機関の改革。学校改革のみならず、近年では都市部での人口集中による教員・設備不足や、反対に過疎化が進行する地域での廃校などの問題、教員の退職に関する問題などで露出度は大。この省も、よく大臣が代わる。

法務相(クレマン)
 特になし。ただし、メディアの露出度は中。

運輸相(ペルベン)
 国鉄やエールフランスなどの労働組合との問題が多い。頻繁に行われる公共交通機関のストの際には、露出度が増す。また、長距離トラック等の組合との交渉問題も多い。最近話題になったのは、交通事故死が隣国に比べ多かったフランスが、自動スピード探知機の設置によって、その数が減少したことなど。露出度中。

厚生・連帯相(ベルトラン)
 国民保険の赤字問題に主として振り回される。また、看護婦の慢性的不足に伴う、現就業者らの労働条件悪化など、問題が絶えない。さらに一昨年の全土を襲った猛暑の際、当時の厚生相、内閣の対応が非常に遅れたことの批判は、いまだ記憶に新しい。露出度中。


以下省略

農林水産相(ビュスロー)
公共サーヴィス(ジャコブ)
文化・情報相(ドンデュウ・ド・ヴァブル)
環境相(オラン)
中小企業(デュトレイユ)
青年・スポーツ(ラムー)
2005.06.04[Sat] Post 00:09  CO:0  TB:0  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

オランダでも否決

・NEE

フランスに続き昨日、オランダでも欧州憲法に対して、大多数の国民が反対の意思を表明した(61%)。オランダ政府では当初国民投票の実施に関して、投票率30%を超えない場合は最終的にその法的効力を認めないとしていた。しかしそれが62%を超えたことで、投票結果に従わざるを得なくなった。
EU各首脳は、未批准国に批准作業を続けるよう求めてはいるももの、これから国民投票を実施するポーランド(開催日未定)などでは、フランスで否決された時点ですでに、消化試合を行うようなものという声があがっている。欧州憲法は加盟国すべてが批准しなければ発効しないため、少なくともフランス、オランダの両国で再投票による批准が必要となるが、現行のままでは可能性が少ない。したがって、否決した両国以外の残り13カ国で批准されるのを待つ以前に、今回の欧州憲法はすでに流産したという意見もある。おそらく形式的に批准作業は続けられるであろうが、それと平行して裏では憲法が見直されることになるだろう。すでに憲法条約に可決した諸国にとっては不条理に思われるかもしれない。しかし、市民レベルでの十分な討議がされずに、議会によって決議された諸国の市民にとっては望むところである。
国民投票が承認されていない国もあるが、仮に一斉に参加25ヶ国で実施されたとしたなら、どういう結果になっていたかを考えることは興味あることである。逆に、各国の議会で同時に決議を下されることになるなら、一挙に批准されていただろうと言う方が、はるかに容易いことである。フランスでも、国民議会で審議されていたなら、8割近い賛成票でもって批准されていたのである。無論そうなっていた暁には、今年に入ってから4回目の国鉄のストなどとは比にならない、ゼネスト状態が長期化し、シラク大統領は内閣改造どころでは済まなくなっていたと思われるが。。。
2005.06.02[Thu] Post 22:58  CO:0  TB:0  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

首相任命

・ド・ヴィルパン首相

シラク大統領は31日の夜、ド・ヴィルパン前内務相を首相に任命したことを正式に表明した。明日にも新内閣の閣僚が首相から発表される予定だが、これに先立って異例にも、サルコジUMP党首が国務相(内務相)に就任することを、シラク大統領によって発表された。
サルコジUMP党首といえば、次期大統領有力候補として知られており、党内では事実上シラク派を凌ぐサルコジ派の牽引者でもある。
シラク派であり首相も務めたアラン・ジュッペ前党首が、汚職問題で政界から退いた後の党内投票では、85%の支持を得て党首に選出された。
フランスでは以前より、大臣や市長などの要職を掛け持つケースも多くあったが(前連立左派の内閣内では一つの要職に集中させる意味で禁止されていた)、シラク大統領は当時経済・財務相であったサルコジ氏に党首との兼任を認めなかったという経緯もある(オー・ド・セーヌ県会議長でもある)。
しかし今回の危機に対して、大統領自らが政敵であるサルコジ党首を、新内閣のナンバー2として呼び戻したことは、2年後に迫った大統領選
を前にして、党内の統率の重要性を踏まえてのことだろう。自らの側近であるド・ヴィルパン氏を首相に任命し、サルコジ氏を迎えたことに関して、党内からは歓迎されているものの、野党側からは早くも批判されている。特に、大統領罷免を要求している共産党や極左側からの批判は、民意に反するとして強いものとなっている。
いずれにせよ新政府は早急に、国民投票の敗北因となった経済・社会的状況の建て直しに取り掛かる必要がある。就業年齢層の約10%に達している失業率の低下如何が、次期大統領選の決定要因になることは疑いないことである。


明日には、オランダで欧州憲法批准に対する国民投票が行われる。移民の問題などを抱えるオランダにおいても、フランス以上に反対派の勢力が強い。自分らだけがEU内の「黒い羊」にならないためには、オランダでも否決されることを願っている者もいると思う。しかし、そういった消極的なものではなく、一国でも否決される国が多いほど、結果として欧州憲法見直しの可能性が増すだろうことを願っている者が大多数であろう。なぜならヨーロッパ統合に関しては、極右以外の市民は好意的だからである。ただ何度も繰返し主張されるように、今回反対票を投じた市民にとっては、どういったヨーロッパなのかが問題であるからだ。新自由主義的理念とは別の理念による新たな統合のための先駆者に、フランスがなることも大いに考えられることである。
2005.06.01[Wed] Post 08:17  CO:0  TB:0  政治  Top▲  このエントリーを含むはてなブックマーク 

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